におい
2007 / 08 / 14 ( Tue ) 短いのでコチラにアップです。
この時期にはテレビや雑誌いろいろなところで戦争について特集されてます。どうぞ目を向けてください。そして戦争反対という意志を固めてくだされば、うれしいと思います。 アル&蒼太郎の一部と二部の間のお話です。 戦争中の匂いって、どんなだろうと思うことがあります。 その時は感覚が麻痺して分からなかった匂いが 何十年も経って甦ることとかありそうです。 におい 対極にあるのはレモンの匂い。 もぎたてのレモンを手の中でつぶした時に溢れた匂い。 戦争の匂いを知っているだろうか? どんな文章も、どんな写真も、どんな記録映画さえも戦争の匂いを伝えることはできない。 破壊された建物の匂いを嗅いだことがあるだろうか? ホコリの匂いの他に、そこに生活した人間の匂いと建物の建っていた年数の匂いがする。 異臭と言ってもいい匂いだ。 そこに戦争の匂いは加算がある。 すべてのモノが焼ける匂い。 硝煙の匂い。 油の匂い。 そして。 血の匂い。 臓腑の匂い。 血と臓腑は匂いが違う。 寒い時期ならば、まだマシだ。 熱い時期ならば、悲惨だ。 これに臓腑が腐っていく匂いが混じる。 日にちが経つと蛆の匂いもする。 生きている人間はストレスを感じているから口臭も混じる。それを消す為のタバコの匂いは慣れ親しんだモノだ。。 すべての負の匂いに戦争は女の匂いを混ぜて仕上がる。 女の体臭。 濃い香水の匂い。 なぜか戦争中、ムスク系の香水の匂いしか嗅がなかった。 或る特定の雄鹿の分泌物から作る香水。 「あーる」 ぺちっと頬を叩かれ、アルは匂いまでもリアルな戦時中の夢から覚めた。 「妙子」 「あい」 市松人形のように愛らしい子供がアルの顔を心配そうにのぞき込んでいる。 「アル、こわい?よちよち」 ベッドが音を立て、妙子に頭を抱かれた。 「ん」 甘い子供の匂いが満ちた。 「妙子、レモネードを飲みに行こう」 「きゃっ」 小さな女の子の体をベッドから起きあがったアルは肩に乗せ、ホテルの喫茶店に足を向けた。 平和の匂いは甘い子供とレモンの匂い。 今、アルは戦争が終わった時間にいる。 20070814 fin |
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